海洋エネルギー産業のサステナビリティ向上に向けたイノベーションを支える6つの工業試験場

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海洋エネルギー産業の先進地域として知られるペイ・ド・ラ・ロワール地域圏は、イノベーションの創出とサステナビリティの向上に力を入れています。地域圏内に点在する先進的な技術研究プラットフォームでは、海洋エネルギーの専門家が各種器具や機械、素材などの極限環境試験を実施することができます。ここでは、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏が擁する最新鋭の試験設備の中から厳選して一部をご紹介します。

サステナビリティの向上に寄与する技術の開発には、近代的な試験設備が欠かせません。ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏では、海洋エネルギーをはじめとする主要産業を支えるべく、研究開発設備が他では見られないほど充実しています。

海洋エネルギー企業各社が自社の製品やソリューションの改良をする際は、送電網と接続されている洋上施設や、現実と同じ環境を再現できるテストベンチなど、多種多様な設備を利用できます。

SEM-REV:洋上試験のパイオニア

ル・クロワジック(ロワール・アトランティック県)から20km沖合に位置するSEM-REVは、送電網に接続された欧州初の洋上複合技術試験場です。国立ナント中央工業大学(Centrale Nantes)によって2007年に開設され、2023年からはオープン-C財団(Fondation OPEN-C)が運営しています。

敷地面積1平方km²の試験場には5つの測定用ブイが設置されており、太陽光、浮体式風力、潮力、および水素を利用したエネルギー設備の洋上試験が可能です。2018年からは、フランス初の浮体式洋上風力発電の実証設備であるFloatgenが稼働しています。

国立ナント中央工業大学の海洋工学水槽:水中環境をリアルに再現

2000年には、国立ナント中央工業大学が開発した海洋工学水槽により、淡水と海水どちらの環境でも幅広い範囲の設備の試験を実施できるようになりました。対象となる構造物としては、漁船などの船舶に加え、洋上風力および浮体式洋上風力発電タービン、潮力発電タービンや波力発電システムといった海洋エネルギー関連の設備などが挙げられます。

試験場には4つの水槽があり、その中でも曳航水槽と造波水槽は同種の設備の中でも欧州最大級の規模を誇ります。また、12名の職員が勤務しています。

ギュスターヴ・エッフェル大学のテストベンチ:極限環境における耐久性を測定

ギュスターヴ・エッフェル大学(Université Gustave Eiffel)のナントキャンパスには、大規模試験に対応したテストベンチが設置されており、軸方向および横方向の荷重下におけるパイプやケーブルなどの線形構造物の大規模な特性評価を実施できます。

また、試験対象物の長さは3mまで、引張強度は5,000kNまで対応可能であり、極限環境における機械的挙動や耐久性を評価できる近代的な設備です。

建築科学技術センターの環境風洞:ハリケーンの再現も可能

1990年に建築科学技術センター(Centre Scientifique et Technique du Bâtiment: CSTB)が建設したジュール・ヴェルヌ気候風洞は、異常な気象条件下での構造物や機械装置の挙動を分析できる高度な設備です。

ハリケーン並みの強風から極端な高温や低温に至るまで、さまざまな気象現象を再現することで、製品や建築物のデザインの改善と耐久性向上をサポートします。また、物理モデルとデジタルモデルを組み合わせ、試験結果の正確性を担保することで、エンドユーザーの安全と安心を守ります。

SEA’NERGY:エネルギー設備の洋上設置を実現するプラットフォーム

ナント近郊のブゲネに位置するテクノキャンパス・オーシャン(Technocampus Océan)内に拠点を構えるCEAテック(CEA Tech)は、エネルギー設備の洋上設置を専門とするプラットフォーム「SEA’NERGY」(シーエナジー)を運営しています。300m²の敷地に高度な設備を擁するSEA’NERGYは、燃料電池や蓄電池、電解装置、変圧器、回転装置、ヒートポンプといった実際の洋上に設置するエネルギー設備の設計、評価、最適化を可能にします。

また、エネルギー設備のモデル作成、シミュレーション、分析に加え、極限環境下での部品の試験、制御装置のプロトタイプ作成、およびリアルタイムシミュレーションのためのデジタルツールを備えています。常駐する職員は13名です。

CESAM:耐食性評価のためのプラットフォーム

2018年に建造されたCESAMも、テクノキャンパス・オーシャン内にあるCEAテック(CEA Tech)が運営するプラットフォームです。CESAMの面積200m²の敷地には、金属材料や複合材の耐久性を測るための高度な設備が揃っています。

主な試験用設備、2台の疲労試験機。1つは人工気候室と併用する試験機、もう1つはシールドルームの中にあるロボットX線検査装置と併用する試験機です。

ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏に眠るビジネスチャンスについてご興味がありましたら、当公社までお問い合わせください。日本語窓口担当のエベールまどか(Madoka HEBERT)から折り返しご連絡いたします。

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